今回開発した食わせ系ミノーは攻略が難しいサヨリパターンにも対応できるもので、その他明暗部などで見られる「釣れないボイル」を攻略する事を目標とした。
中でもサヨリパターンは特異な部類で、食わす事が難しいとされているが、その理由はサヨリの動きに起因するものだと考え、その特徴を考察することから開発は始まる。
まず、魚系ベイトの動きを観察すると、それぞれに特徴がある事がわかる。例えばボラの場合は、頭に近い部分を支点に胴体~尻尾までをウネウネと左右に振る「ウォブン(ウォブル)」の動きが強く見られる。イワシなどはアクションで言えばロール主体で、それに対応しているルアーは数知れない。それだけメジャーなベイトであると言えるだろう。
では、サヨリはどうか?
動き自体はロール主体のウォブンロールだが、主に尾ひれ付近を推進力としており、胴体から発する波動はかなり少ない感じに見受けられる。これが他の魚と少し違う所で、ルアーで動きを再現させる難しさに繋がっているのだろう。
頭~胴体が支点で、推進力が尾ひれとなると、リップやヘッドに水を当ててアクションをさせるミノーのメカニズム上、泳ぎを再現させるのは難しい。
よく、リップを削る事でアクションを抑えて対応するのはその為だが、これは頭~胴体の動きが再現出来ても、重要な尾ひれの動きが再現されていないので、結局パターン自体に再現性を持たす事が難しかった。
そこで、今回のルアーはテール位置を少し膨らませ、水流を受ける事で波動を出す形をとっている。これならミノーとしての造形美を保ったまま、尾ひれの波動を再現できる。
ミノー自体は控えめなアクションで、通常のリトリーブでは僅かにロールに振る設定となっている。これはサヨリのみならず、体力を落とした落ちアユや、スリムベイトのバチなどのパターンやスレたシーバスにもマッチしてくるだろう。
水流などの地域差も視野に入れ、番手を上げてのフックチューンでここから更に動きを抑える事も出来るよう、あえての2フックバージョン。繊細なバランス保持を重視した事による固定重心システムを採用している。