僕がアピアのロッドを使うようになって何年がたつだろう?
その性能に惚れ込み、初代『ネオンナイト』を使うようになって僕のシーバスフィッシングが大きく変わった。楽しさを求めるという僕のスタイルの本質をより確実な物にしてくれたのだ。
ただ、ネオンナイトでは高知のビッグワンとのガチンコ勝負において“力負け感”が否めなかったのも事実だった。
そんな中、「ビッグワンを確実に獲る」というAPIAのコンセプトをハッキリと実感できる前作のビーストブロウルが発売され、僕のモンスターへのアプローチが大きく変わっていった。
それは、極力ラインを出さない魚との真っ向勝負!
実釣の現場は杭が乱立し、橋脚などのストラクチャーが迫る場所も多い。掛けた魚に対して常に強気で対戦できるロッドコンセプト。実際、掛けてからの安心感はかなりのもので、初代ビーストブロウルでは7kg止まりではあったが、より強気で攻められるロッドだったことを鮮明に記憶している。
しかし、初代モデルはその有り余るパワーからやはり若干の持ち重りがあり、長時間のゲームで12〜14cmのミノーをフルキャストするという男前なゲームを貫き通すには僕の体力がそれを許さなかった。
手首、肘、肩、が悲鳴をあげ、当然キャストにも支障が出てくる、それ以前に振り返って考えると、キャストフィーリングにも僕の理想と隔たりがあったように思う。
しかし、当時はそれをロッドの問題とは気付かず、僕自身の筋力、体力の無さと感じ、苛立ちを憶えていた。
そんな中、REDの作ったフロウハントと出会う。ビートブロウルと比べると細身であったが、その極上の操作性能に僕は驚かされた!
事実、僕が獲った116cm13kgというモンスターもこのフロウハントで仕留めたものだ。
その1ヶ月後、今度は105cm、12.5kgをオープンエリアで仕留めた、これもフローハントを使ってだ。立派なランカーだ、しかしその時僕は大きな違和感に襲われていた。自分の理想とするスタイルでは無いそのファイトにである。
オープンエリアでのファイトは、魚に合わせて自分が動き、ドラグを上手く使いながら徐々に魚との距離を詰めていく。必然的にファイトタイムは長くなり、その中で常につきまとう“バラシ”の不安。
不安から来る焦り、そして焦りから生まれるバラシ。それを過去に幾度となくそれを経験した僕は、この時ある結論に到達した。 「常にMAXの気持ちで魚と挑みたい!」
ライトタックルを使った針の穴を通すが如く、皮膚がヒリつくような神経戦もいい、でも僕が求めるのは正面から打ち合う、拳で語る血液沸騰の熱いファイトなのだ!
そのためには必要なロッドがある。魚に遅れを取ることの無いバットパワーを持つビーストブロウルと、アングラーの体力をサポートするかのような軽量且つ、アキュラシーに優れたフローハントの操作性、そのいずれをも併せ持ったロッドである。そしてその難題を見事にクリアーしてV3ビーストブロウルは完成を見た。
新たに手に入れた“静と動”の融合。つまりビッグワンを狙うミノーアクションと止めの『間』を取れるロッド性能。エギングにも似たジャークからの止め、シンキングプラグを流れに乗せながらフォールさせる中でその動きを捕らえるティップの操作性。
10kgの魚と真っ向勝負できる剛竿とも言えるパワーと、格段にアキュラシー性能を向上させ、3〜4kgの魚とも十分に楽しめる柔軟さを持ち併せた新生V3ビーストブロウル。
MAXの気持ちでランカーとガチンコ勝負!! このロッドに“後悔”の二文字は無い。
2008年 6月 濱本国彦
|